歯は削る前に守る!後悔しないための歯の話
私たちは毎日、食事をして、おしゃべりをして、笑ったりします。これらすべてに関わっているのが「歯」です。しかし、虫歯や歯周病になったとき、「悪くなったら削ればいい」「抜いて痛みがなくなればいい」と思っていませんか?
擦り傷とは違い、自分の歯は一度削ったり抜いたりしてしまうと、治療はできても元通りには戻りません。実際、「歯を失って後悔した」「歯科定期検診に通っていればよかった」といった声が多いことも、調査で明らかになっています。
今回は、自分の歯を残すことの大切さについてご紹介します。
なぜ自分の歯が大切なの?
私たちの歯には、食べ物の食感を感じる「歯根膜」という組織があります。これにより、硬さや弾力、温度などを繊細に感じ取ることができるのです。
たとえば、ふわっとしたパンの柔らかさや、せんべいのパリッとした食感…。そういった「おいしさ」や「食べる楽しさ」は、自分の歯があってこそなのです。
人工の歯(被せ物や入れ歯、インプラント)でも噛むことはできますが、この「感覚」はどうしても再現できません。
削った歯は弱くなる
虫歯になって歯を削ると、そこに詰め物や被せ物を入れて補いますが、削った分だけ元の歯よりも弱くなってしまいます。
特に神経を取ってしまった歯は、もろくなりやすく、折れたり欠けたりするリスクが高まります。つまり、治療は「元に戻すこと」ではなく、「使えるようにする処置」なのです。
当クリニックの歯を残す治療
当クリニックでは、できる限り歯を削らない、神経を取らない、歯を抜かない治療(MI:ミニマルインターベンション)に取り組んでいます。
そうすることで、歯の健康な部分を最大限残し、歯の寿命を延ばすことができます。詳しくは「できるだけ削らないMI治療」も併せてご覧ください。
もちろん、病状の進行度によっては、必ずしも歯や神経を残せるとは限りません。そういった場合は、「なぜ削るのか」「なぜ神経を取る必要があるのか」「歯を抜くことで何が変わるのか」をしっかりと説明し、納得いただいた上で処置を進めていきます。
自分の歯を守るためにできること
歯を守るためには、毎日のケアと定期的な歯科検診が欠かせません。早期発見・早期治療ができれば、削る量を最小限に抑えたり、抜かずに済む可能性も高くなります。「自分の歯を守る意識」が、将来の健康と生活の質(QOL)を左右するといっても過言ではありません。
だからこそ、「悪くなったら治せばいい」と思う前に、まずは悪くならないように歯を守ることが大切なのです。しばらく歯医者に行っていなくても、今からしっかり治療し、定期検診を受けることで、これ以上悪くなるのを防ぐことができます。
今からでも遅くはありません。現状を大切に守っていきましょう。
まとめ
今回は、自分の歯を残すことの大切さについてご紹介しました。
何歳になっても、笑顔で過ごすことや会話を楽しむこと、そして「食べる楽しさ」は、自分の歯があってこそ感じられるものです。
その場しのぎの対処ではなく、将来を見据えた予防を心がけて、ご自身の歯を守っていきましょう。