歯周病と全身疾患の関係

前回のコラム「歯を失う2大原因」の中でも歯周病はお口だけでなく、全身に悪い影響を及ぼすことをご紹介しましたが、お口のトラブルがどのようにして全身に悪い影響を与えるのか不思議ですよね。

歯周病のことをよく知り、予防の第一歩として歯周病と全身疾患の関係についてご紹介します。

 

歯周病と全身の関わり

歯周病

⻭と歯肉の間にはわずかな溝があります。お口を清潔に保つことで、健康な歯肉は引き締まり、溝が1~2mm程度と浅く歯と密着しています。

しかし、清掃が⾏き届かず、溝にプラーク(歯垢)や歯石などの汚れが蓄積すると⻭茎に炎症が起きて腫れ、溝が深くなり、歯周ポケットと呼ばれるようになります。歯周ポケットの深さは、軽度から中等度の歯周炎の場合3~5mm、重度の歯周炎の場合には7mm以上になります。

この⻭茎の炎症に関連した物質が、歯茎の⾎管を経由して全身に⾏き渡り、様々な疾患を引き起こす原因となってしまいます。

 

歯周病が引き起こす疾患

糖尿病

歯周病が⾎糖値を下げようとするインスリンの働きを悪くし、⾎糖コントロールが悪くなり糖尿病を悪化させてしまうという報告もされており、⻭周病は糖尿病の合併症のひとつとも⾔われています。

相互に悪影響を及ぼし合っていると考えられるため、⻭周病の治療で糖尿病が改善することもわかってきています。

糖尿病

 

メタボリックシンドローム

糖尿病との関係にもありましたが、⻭周病菌には、インスリンの働きを抑えて⾎糖値を上昇させる働きがあります。また、動脈硬化などその他の疾患も密接に関わり合うため、⻭周病はメタボリックシンドロームとも関連性が⾼いと考えられています。

 

誤嚥性肺炎

誤嚥した際に、唾液中に含まれる⻭周病菌が気管に⼊り込み、炎症を引き起こします。嚥下機能の低下によって誤嚥性肺炎が引き起こされるリスクが高くなるので、特に⾼齢者や免疫⼒が低下している⽅は注意が必要です。

誤嚥性肺炎

 

早期低体重児出産

⻭周病菌は陣痛や子宮の収縮などを促進させ、早期低体重出産の確率が⾼まると考えられています。

妊娠中は⼥性ホルモンの影響で虫歯や⻭周病になりやすくなりますので、安定期には歯科医院に通ったり、気分の良い時に歯を磨くなど、無理なくケアをしましょう。

 

⼼疾患

⻭周病菌が動脈硬化を誘導する物質を作り出し、血液に侵入すると血栓をつくり、心筋梗塞や狭心症の原因となります。

動脈硬化

今回紹介した他にも、脳梗塞や認知症などにも歯周病が関わっていると言われています。歯周病の予防や早期発見・早期治療は、全身の健康を守るためにも重要であることを認識し、口腔ケアの意識を高めましょう。

 

参考

公益財団法人ライオン歯科衛生研究所

https://www.lion-dent-health.or.jp/100years/article/health/001.htm

 

特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会

https://www.jacp.net/perio/effect/

 

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